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スノーフレーク

別名:スズランスイセン

Leucojum aestivum L. ヒガンバナ科

 名前は英名‘Snowflake’からきた。原産地は地中海西部で世界各地で栽培される。山口県でも1980年頃からよく栽培されはじめた。現在(2020年)、それらが各地で逸出しふえている。外花被と内花被が同じ大きさで下部が合体し、裂片の端部に緑色の葉緑体を含んだ部分がある。山口県立山口博物館には「光市光井、2017年3月17日、南敦」の標本が納めてある。上関町や田布施町の土砂置き場にも大群生していた。  (南敦)

山口県光市中央 2016年3月26日 南敦撮影

山口県光市中央 2016年3月26日 南敦撮影

オオツルボ

別名:シラー

Scilla peruviana L. キジカクシ科

 地中海沿岸の南ヨーロッパ、北アフリカ原産。日本には明治時代に入ってきた。園芸用に市販されていて、花壇や庭などに植栽される。球根の分球によって殖やすが、種子によると思われる野生化もかなり見られる。2018年4月、筆者宅のビワの大木の根元に、植えていないのに突如として花を咲かせた。日陰の場所だが耐陰性もあるようだ。山口県には標本記録がなく、いつごろ入ったかは不明である。  (富永啓介)

山口県光市中央 2018年4月26日 富永啓介撮影

果実 山口県光市中央 2019年6月18日 富永啓介撮影

セイナンハナハギ〈新称〉

Campylotropis delavayi (Franch.) Schindl. マメ科

 道路の法面などに中国産の種子が播種された所で見つかる。上関町白井田(2019.9.25)、防府市三谷森林公園(2017.10.21)、山口市野谷白井川上流域(2017、2018、2019)など。葉は緑が濃く厚い、典型的な楕円形。葉の中肋から80~90°の角度で側脈が出る。花序は枝先に集まる。いずれも著しい特徴で、『中国高等植物図鑑第二册』(1972)で同定した。名前は同書で「西南杭子梢」としていることから付けた。原産地は中国西南部。証拠標本は山口県立山口博物館に納めてある。  (南敦)

山口県山口市阿知須きらら浜 2019年10月26日 南敦撮影

葉 山口県山口市阿知須きらら浜 2019年10月26日 南敦撮影

ナンバンアカバナアズキ

別名:タチナンバンアズキ 琉球列島

Macroptilium lathyroides (L.) Urb. マメ科 

 原産地は熱帯アメリカ。世界の熱帯~亜熱帯に広く帰化している。日本では中島邦雄が1965年に沖縄県恩納村で採集し、初島住彦に同定を依頼したと『北陸の植物 第20巻1号』(1972)に報告している。初島住彦・天野鉄夫『改訂沖縄植物目録』(1967)にも新称として記載されている。よく似た同属のクロバナツルアズキ M. atropurpureum (Mociño et Sessé ex DC.) Urb. が蔓性であるのに対して、立性でよく分枝し、高さ1~1.5mになる。また、3出葉の小葉はクロバナツルアズキに比べて幅が狭い。花は腋生の長い花茎を出し、総状花序につく。花色は赤色~濃紅色。莢果は棒状で先が鋭く尖り、幅約3㎜で長さ6~10cmになる。  (富永啓介)

鹿児島県沖永良部島 2018年9月4日 南敦撮影

 鹿児島県沖永良部島 2018年9月4日 富永啓介撮影

ショウジョウソウ

Euphorbia cyathophora Murray トウダイグサ科

 原産地は北アメリカ南部。明治時代初期に観賞用で日本にきた。山口県では、山口県立山口博物館の記録によると「小郡町、1993年10月4日、松崎秀人」がはじめである。2000年頃から光市牛島や周防大島町情島、上関町長島等で多数野生化した。沖縄県では非常に多く見られた。 (南敦)

山口県光市牛島 2015年9月15日 南敦撮影

沖縄県久米島 2019年8月6日 富永啓介撮影

オニハマダイコン

Cakile edentula (Bigelow) Hook. アブラナ科

 原産地はヨーロッパ、北アメリカ。日本では新潟県で最初に見出された。南敦は2012年5月9日、島根県益田市の海浜で数本見つけた。山口植物学会は2018年6月9日、同じ海岸を調査したところ、百本以上も確認できた。6月からは特性である2分節の果実ができていたので容易に確認できた。山口県では長門市(2019年5月18日)、下関市(2019年7月12日)で見つかった。写真の南敦の標本は山口県立山口博物館他に納めた。  (南敦)

島根県益田市中島町 2018年6月9日 南敦撮影

果実 島根県益田市中島町 2018年6月9日 南敦撮影

 山口県光市中央 2019年6月5日 富永啓介栽培・撮影

バクヤギク

Carpobrotus chilensis (Molina) N.E. Br. ハマミズナ科

 原産地は南米のチリ~アルゼンチン。世界の沿海地に拡がっている。観賞用に栽培されることもある。中西弘樹『長崎県植物誌』(2015)に記載がある他は文献に乏しい。近年日本に帰化したと思われる。インターネット上では千葉県、愛知県、島根県、福岡県、長崎県などからの情報があり、海岸にかなり野生している。茎は分岐しながら地表を這って旺盛に広がる。マツバギク【1巻P.14】に似るが、葉は一辺約1cmの三角柱状で先が尖り、長さ約8~10cmとかなり大型である。対生した葉の葉腋から花枝を出し、頂花をつける。花は直径6~8cmの紅色。朝開き、夜は閉じる。花後、花柄の両脇から新芽を出す。光市の牛島、室積松原、象鼻ヶ岬などの海岸で群生が見られるが、光市のものは果実が見られない。  (富永啓介)

山口県光市室積 2018年4月30日 富永啓介撮影

イワトオシ〈新称〉

Carpobrotus edulis (L.) N.E.Br. ハマミズナ科

 原産地は南アフリカ。世界の沿海地を中心に帰化している。2020年5月、山口県光市室積に6群落、平生町佐賀港に2群落を確認。地面を完全に被って増殖している。近似のバクヤギク C. chilensis (Moilna) N.E.Br. よりさらに大型。葉は断面が三角形で太さ約1.2cm~1.5cm、長さ約8~10cm、ほふく茎に対生し、両葉腋から枝を斜上させ先端に花をつける。葉の色は日照の強いところでは褐色を帯びる。花は初め黄色で、開ききると黄白色、その後淡桃色となる。花の直径は約8~11cm、山口県での花期は5~8月。葉が刀のような形をして大きいので弁慶の大薙刀「岩融」(いわとおし)に見立ててイワトオシと新称した。  (富永啓介)

山口県光市室積 2020年5月11日 富永啓介撮影

左:バクヤギクの葉 右:イワトオシの葉 山口県光市室積 2020年5月11日 富永啓介撮影

果実 山口県光市室積 2020年5月11日 富永啓介撮影

アカミノアカネ

Rubia cordifolia L. var. cordifolia アカネ科

 東シベリア~中国北部に分布する。クルマバアカネ R. cordifolia L. var. lancifolia Regel の果実は黒熟するが、アカミノアカネは赤熟する。2019年10月6日、山口市徳地野谷白井川上流域の法面を、会員の秋丸浩毅氏の案内で近畿植物同好会の植村修二先生並びに山口植物学会会員の岡村敏子と南敦、富永啓介両氏で調査を行い、同定は植村先生が確認された。同地域には多数見られた。10月6日の南敦氏の標本は山口県立山口博物館に納められている。     (岡村敏子)

山口県山口市野谷 2019年10月6日 岡村敏子撮影

モウズイカ

Verbascum cv. Southern Charm ゴマノハグサ科

 2019年10月18日、山口県柳井市新庄の花壇で見つけた。モウズイカ属はヨーロッパ、北アフリカ原産。日本にも帰化している。葉がタバコに似ていることからニワタバコとも呼ばれ、日本ではタバコの代用にされた記録がある。種子は長年発芽力を保つことが知られている。雄しべに紫青色の長毛を開出することから「毛蕊花(もうずいか)」の名がついた。新庄のものは開花時には草丈が1~1.5mになり、黄色の花が葉のついた花茎で穂状花序をなす。近年、園芸店でいろいろな種類が売られている。  (石光照彦)

サザンチャーム 山口県柳井市新庄 2019年10月18日 石光照彦撮影

サザンチャーム 花のアップ 山口県柳井市新庄 2019年10月18日 石光照彦撮影

アレチヨモギ〈新称〉

Artemisia ordosica Krasch. キク科

 2019年11月9日、山口植物学会は山口県防府市上右田の三谷森林公園で帰化植物を調査した。そのとき、南敦は道端に高さ約30cmで茎の根元から深く分裂した葉を出した株を見つけた。緑色の葉は非常に深く分裂し、裂片は糸状ないし針状であった。茎が紫紅色~褐色で油を塗った感じがあり、『中国雑草原色図鑑』(2000)の黑沙蒿、油蒿、『中国高等植物図鑑第四册』(1975)の黑沙蒿に相当すると考える。名前は本種が中国で砂丘や砂礫地に生育していることによる。写真の標本は山口県立山口博物館に納めてある。花序の写真は茎先が刈り取られたもの。  (南敦)

山口県防府市上右田 2019年11月9日 南敦撮影

山口県防府市上右田 2019年11月9日 南敦撮影

花序 山口県防府市上右田 2019年11月9日 富永啓介撮影

 山口県防府市上右田 2019年11月30日 南敦採集・撮影

コウリンタンポポ

Pilosella aurantiaca (L.) F.Schultz et Sch.Bip. キク科

 ヨーロッパ中部から北部原産。多年草で匐枝を出して分枝する。全体的に剛毛があり橙赤色の頭花を多数付ける。筆者は2015年5月26日に周南市鹿野で見つけたが、その後発見できず諦めていたところ、2019年6月4日位置が変わっていたが見つけた。以前広島県冠高原にかなり生育していたがなくなった。2019年6月9日、広島県庄原市の道後山高原クロカンパーク入り口と、猫山登山口で相当数見られた。    (岡村敏子)

山口県周南市鹿野 2019年6月4日 岡村敏子撮影

花のアップ 山口県周南市鹿野 2019年6月4日 岡村敏子撮影

花の裏側 山口県周南市鹿野 2019年6月4日 岡村敏子撮影

果実 山口県周南市鹿野 2019年6月4日 岡村敏子撮影